イギリスの田園を歩いて

 私にとり初めて薔薇が強く印象に残ったのは、大変旧く、学生時代のことです。
グリアー・ガースン(絶世の美女、ご存じない?)演ずるミセス・ミニヴァーと言う映画を見た時です。年老いた薔薇の栽培者が一輪の薔薇にミセス・ミニヴァーと名づけて、ミニヴァー夫人に差し出すシーンの薔薇とガースンの上品な美しさ、今でも目に残っているものです。

瀧川 信

 昨年6月末、私は家内と、たまプラーザに住む友人夫婦と四人で、エデインバラ、湖水地方、コッツオルズを歩く個人旅行をしました。鉄道、レンタカー、B&Bを利用して、時間に追われず、長閑に、イギリスの自然と文化を満喫した素晴らしい旅でした。イギリスの田舎の美しさを心ゆくまで味わい、感動しました。イギリスの人々が如何に自然を慈しみ、大切にするのか、それはやはり、あるが侭の自然の美しさに惹かれ、癒される事を知っているからではないでしょうか。ナショナルトラストは、このあるが侭の自然を保存し続ける最高の知恵であると思います。

  さて、今回の旅行の経験を通して皆様に特にお伝えしたいことが二つ有ります。
一つ目は、車とB&Bの利用です。車での移動は、道路、標識、マナー、いずれも完璧で極めて快適です。小さな美しい村程、交通の便が良く無いんです。それと、旅の味合いを倍加させてくれるのが、B&Bです。これぞ、イギリスの生活や文化との触れ合いとでも言いましょうか。私たちが宿泊した“クランプトン・マナー”をご紹介して、その一端をお伝えします。

  コッツオルズの中心近くの丘の上あり、広い庭に囲まれた、16世紀のチューダー様式の大きな建物の2部屋が客室として用意されています。旦那、ジェームスさんは、ガーデン デザイナーで、オールド・ローズのエキスパートです(メイン・ファサードの薔薇は、ファンタン・ラツウール、ブラシュ・ノワゼット、カーデイナル・リシュリー。私も知っているバラで、ホット!)。カリン夫人は4人の子供を育てながらの、料理得意の肝っ玉母さん。80本のオールド・ローズとクレマテイス、3匹のワンチャン、庭を駈けずり廻る鶏たち。此処に、4泊して、のんびりとコッツオルズを散策、良き友人との忘れられない旅のひと時となりました。

二つ目は、薔薇についてです。
今回は、田舎をゆっくり楽しむ企画でしたので、モテイスフォントも、ガーデン・オブ・ザ・ローズも行っておりませんが、コッツオルズには、キフツゲイトとヒッドコート・マナー(いずれも名園)があり、沢山の薔薇を楽しみました。
それも良いのですが、漫ろ歩きしつつ、見つける普通の家の庭に、咲き誇る薔薇の数々、蜂蜜色の家に映え、実に見事な美しさです。一つ一つの花を探るのもよいですが、薔薇の咲いている情景、家々の薔薇が、夫々の風情に輝いており、これが薔薇の原風景かなと思ったりしつつ、美しさを堪能して、帰って来ました。

筆者 瀧川 信さんのプロファイル:
大田区在住、JOR会員、リタイア後バラを始める(3年)。バラ40本程、クレマティス30本程を庭で愉しんでいます。